Career Story:吉松 澄音さん
- 大阪少年鑑別所法務技官
吉松 澄音さん
2022年卒業(心理学部心理学科)
2024年修了(心理学研究科 臨床心理学コース)
法務技官を目指して同志社心理へ。
培った技術や考え方が、仕事に生きています。
高校時代加害者の心理に興味を持ち、法務技官を目指すように。
きっかけは、高校時代。ある少年事件について家族と話すうちに「加害者はなぜこんなことをしたのか」と加害者の気持ちや背景についても考え始め、犯罪心理学に興味を持つように。非行や犯罪に及んだ人に関われる仕事として法務技官という職を知り、それを目指せる大学を探していました。同志社心理に魅力を感じたのは、実習先に少年鑑別所があり、矯正教育に用いられる認知行動療法を専門とされる先生方がいらっしゃったところ。そしてちょうど私の入学年度から、法務技官として働いておられた先生が教鞭をとられることが、志望の決め手になりました。

大学在学中/就職活動基礎を学び知見を広げて、多角的な視野を得た。
大学では講義を通して心理学の基礎知識を身につけ、各種心理検査の実施経験を積むことができました。少人数の講義や実習が多いため同級生と討議する機会も多く、さまざまな考え方や価値観にも触れられました。自分にはない観点で気づきを得られたことは大きく、今でも「そういえば同級生はこういう考え方や視点を持っていたな」と思い返して、面接に活かすようにしています。当時から視野を広げることが大事だと考えていたので法学や社会学も履修し、多角的に物事をとらえ考える力を養うよう勉強に取り組みました。
また、実習では病院などで働いておられる心理職の方にお話を伺ったことが印象に残っています。心理学の専門知識がどのように現場で用いられているかを知ることができ、多職種連携の中で自分の知識や考えについて専門用語を使わずわかりやすく言い換える能力が必要であることを学びました。実際に職場でも他職種の方と意見を共有するときには、わかりやすい言葉を使うよう心掛けています。

現在目標は、在所者が自分で自分を振り返れるようになること。
少年鑑別所は、罪を犯した未成年を収容し、少年審判で処分を決めるための準備をする施設。私たち法務技官は、在所者と話して得られた情報から悩みや非行の原因を分析し、今後の方針を立て、家庭裁判所に提出する書類を作成します。それ以外に彼らを無事に審判に送り届けるため、逃走や自傷行為などをさせないよう見守る役割もあります。
仕事の中で難しいと思うのは、書類作成において面接の結果を言葉でまとめること。「その言葉で本当に在所者像を表すことができるか」を常に自問自答しています。また、面接を通して在所者が自分自身で「なぜこんなことをしてしまったのだろう」と振り返れるようになることも大切。「自分は家庭の中で寂しかったのだ」といったように、担当した在所者が自分の話をできるようになり無事審判を迎えられたときが一番嬉しく、やりがいを感じます。

これからのビジョン
相手を理解するだけでなく、本人の自己理解を促せる法務技官に。
鑑別所での時間は、在所者にとって自身と深く向き合える貴重な機会。面接を通じて彼らの非行やこれまでの生活をともに振り返ることで、自己理解を促せたらと考えています。日々の対話の中で少しでも気づきや更生のきっかけを与えられるよう、今後も常に先輩方の経験や知識から学び、自身の専門性を高める努力を続けていきます。