研究紹介のページ 4 食べ止むのはなぜ?
Kenjiro Aoyama’s Page
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食べ止むのはなぜ?(3)
科学研究費(基盤研究C 課題番号21530778)2009-2011年度
課題名 健康な摂食量を実現するための、「食べ止む」要因の実験的な解明とその応用
研究結果の概要
②人間を対象とした栄養価の異なるゼリー飲料の実験前摂食の効果について
大学生を対象にしてポテトチップを10分間好きなだけ食べてもらった。ポテトチップを食べる直前に、市販のゼリー飲料を1パック飲んでもらった。その際、半数の実験参加者内は栄養価が高い飲料を、残り半数の実験者には栄養価の低い飲料を飲んでもらった。ただし、ゼリー飲料のパッケージには覆いを掛けて、実験参加者はどちらの飲料を飲んだのかはわからない条件にした。
その結果、どちらの飲料を飲んだ後でも、ポテトチップの摂取量には差が見られなかった。つまり、直前に摂取したゼリー飲料に栄養価が高くても、その後のポテトチップの摂取量がより抑制されるということは生じなかった。また、ポテトチップを食べる行動のセッション内減少を分析したところ、群間に差がなかった。つまり、直前に摂取したゼリー飲料の栄養価は、単に摂食量に影響しないだけでなく、摂食行動のパターンにも影響しないことが示された。
③現在までのまとめ
これらまでの研究では、人間でも動物でも、過去の経験から独立して現在の食べ物の栄養状態が摂食量や摂食行動のパターンに影響するのではなく、過去にその風味の食べ物にどの程度の栄養があったかの学習に基づき、栄養価が高かった場合には摂食量を減らし、栄養価が低かった場合には摂食量を増やすというコントロールが行われている可能性を示している。したがって、適切な摂食量のコントロールのためには、食物の風味と栄養価の学習が適切に行われる必要がある。
これらの結果からは、例えば人工甘味料を使用した飲料の摂取が常習的に行われると、通常の食べ物で学習された甘味と栄養価の学習が損なわれ、適切なコントロールが失われるといった可能性が示唆される。