研究紹介のページ セルフコントロールと衝動性

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セルフコントロールと衝動性の行動分析的研究

 なぜ、健康に悪いとわかっているのにタバコをやめられないのでしょうか? なぜ、勉強が大事だと思っているのにテレビを見てしまうのでしょうか?

 行動分析学という新しい心理学の分野を元に発展してきた行動経済学的な研究から、この問題に取り組んでいます。


 「意志が弱い」と本人を責めることは解決にはつながりません。

「今すぐ手に入る小さな報酬」と「後で手に入る大きな報酬」との選択にヒントがあります。


 例えば、タバコを吸うかそれとも我慢するかというセルフコントロール場面では、


  タバコのおいしさ  vs.   健康な身体


という2つの報酬の間で選択をすることになります。

 タバコを止めたいと思っている人は、健康をより重視しているはずです(つまり、タバコのおいしさより健康の方が価値が高い)。ところが、前者はタバコに火をつけて口にくわえればすぐに手にはいるのに対し、後者はタバコを我慢したとたんに手にはいるわけではありません。つまり、前者が「今すぐ手に入る小さな報酬」、後者が「後で手に入る大きな報酬」になります。

 報酬が手に入るまでに待たなければならない場合、待つ時間が長くなるほど報酬の価値は低下します。そのために、本来はより価値の高い「健康」よりも「タバコ」を選んでしまうのです。

 

勉強の場面では

  今晩のテレビ vs.  学期末の良い成績


ダイエットの場面では

  目の前のケーキ vs. 将来の良いプロポーション


 というように、一般にセルフコントロールが必要とされる場面の多くでは、同じように「今すぐ手に入る小さな報酬」と「後で手に入る大きな報酬」との選択場面になっています。そして、右側の本来はより良い報酬の価値が、待ち時間により低下してしまうため、左側の本来はより価値が低い方を選んでしまうのです。これが、「衝動的行動」と言われる行動を人間(そして動物)がしてしまう重要な要因だと考えられます。

 動物を用いた選択行動の実験のビデオ


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