研究紹介のページ 甘味物質への欲求の制御
Kenjiro Aoyama’s Page
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甘味物質への欲求の制御
科学研究費(基盤研究C 課題番号24530930)2012-2014年度
課題名 砂糖中毒を制御するための、渇望の増強に対する環境刺激と経験の効果の検討
科学研究費の助成を受けて、甘味物質への欲求が生じる原因の解明とその応用に取り組んでいます。
研究の狙い
砂糖などの甘味物質に対して人間や動物は強い欲求を有するが、状況によってはその欲求の程度が非常に強くなることから、「砂糖中毒」と呼ばれることがある。この研究では、特に、砂糖を定期的に摂取する習慣がついた後で、砂糖を長期間剥奪された後に生じる砂糖に対する「渇望の孵化(incubation of craving)」が生じるメカニズムの検討を通して、甘味物質に対する欲求の制御に取り組む。渇望の孵化はそもそもコカインやヘロインなどの薬物に対する研究から見いだされた現象であるが、現在では砂糖水に対しても同様の現象が生じることがわかっている。
研究の成果
初年度の研究は、米国Western Washington UniversityのGrimm教授の研究室での青山の在外研究中に実施された。主な研究成果は以下の通りである。
・渇望の孵化は砂糖水を報酬とする場合に生じることが従来の研究でわかっていた。本研究では、渇望の孵化がカロリーの無い人工甘味料であるサッカリン水に対しても生じることを示した。このことは、渇望の孵化が生じるにはカロリーではなく甘味が重要であることを意味している。この研究の成果は、Appetiteに2014年に論文として公開された。
Aoyama, K., Barnes J. &, Grimm J.W. (2014). Incubation of saccharin craving and within-session changes in responding for a cue previously associated with saccharin. Appetite, 72, 114-122.
・砂糖水への渇望は脳内のドーパミン系が関与していることが知られている。本研究では、サッカリン水を報酬とする渇望の程度もドーパミン拮抗薬の投与により弱まることが見いだされた。この研究の成果は、2013年に米国のSan Diegoで開催された、Neuroscience 2013において報告された。
Aoyama, K., Barnes, J., Koerber, J. Glueck, E., Dorsey, K., Eaton, L., & Grimm J. W. Systemic injection of D1 antagonist SCH 23390 reduced saccharin seeking.
以前の科学研究費による研究 >>食べ止むのはなぜ?