基礎と応用をバランスよく学び、幅広い領域に触れて広い視野を身につける同志社の心理学部に、人の心に興味を抱いて集まった学生たち。個人差に注目する臨床パーソナリティ心理学を専門とする杉若先生と4 名のゼミ生に、同志社心理での学びやその姿勢について語り合っていただきました。
日常生活で感じる、
心理学の面白さ。
— 同志社大学心理学部に入学した理由は何ですか。
佐々木さん | 大学では興味のある分野をより深く学びたいと考え、目には見えないけれど確実に人に影響を与えている「心」を扱う心理学を志しました。普段から自分の思考や言動が何に突き動かされているのか疑問に思っていたからです。 |
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徳田さん | 私も一番関心の強かった学問が心理学で、1年次から実験できてカリキュラムもしっかりしている同志社の心理学部を選びました。心理学で扱う「人の心」は生活の中で重要な要素であり、将来人の生活や健康に関わる仕事につきたいと思っていたこともあります。 |
稲葉さん | 私は小学校からやっていたバレーボールで部活動の先生を通して推薦のお話をいただいたのがきっかけです。地元京都で学びたいという思いが強く、心理学にも興味がありました。 |
村瀬さん(※) | 同じく小学校からハンドボールをやっていて、同志社のハンドボール部の監督から誘われて推薦で入学しました。心理学はテレビで見るメンタリストのイメージが強く、人の仕草で心理状態がわかるといった授業を思い浮かべていましたが、入学してみると想像していたものと違っていましたね。意外と人の心はわからないことを知りました。 |
稲葉さん | 私も村瀬くんと似たようなイメージを持っていたので、入学してから統計など勉強することがたくさんあって驚きましたが、学年が上がるにつれて日常生活や部活動の中に心理学を見出せるようになり、面白く感じるようになっていきました。 |
徳田さん | 私は心理学系で大学を探しており色んな情報を見ていたので、そういったギャップは特になかったのですが、これほどさまざまな分野の心理学があるとは思っていませんでした。 |
佐々木さん | 私は統計など理系の側面が強かったことにギャップを感じたのを覚えています。もともと理系から文転していたので、理系に戻ってきたような気持ちでした。 |
杉若先生 | 確かに入学された時点では、学生が心理学に抱くイメージと教員が知ってほしい心理学の間にちょっとしたギャップを感じることがあります。しかし最終的に卒業論文で自分たちでデータを集めて分析してまとめていく中で、心理学は科学的なものだと理解を深めていくようです。 |
心理学の奥深さを
理解してもらうことが重要。
— その卒業論文のテーマを教えてください。
稲葉さん | 私は村瀬くんと一緒に、アスリートの練習環境がパーソナリティとストレス耐性に与える影響をテーマにしました。 |
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杉若先生 | パーソナリティとは、他の人とは違うという「独自性」と、その人らしいと思わせる「一貫性」に関わる概念ですね。 |
稲葉さん | はい。今回はビッグ・ファイブと呼ばれるパーソナリティ特性とストレス耐性をとりあげました。スポーツを6年以上続けていて今も同志社の体育会に所属している学生をアスリートと定義して一般学生と比較したり、練習の厳しさなどの基準を作ってアンケートを実施しました。 |
村瀬さん | 結果として学生アスリートは一般学生に比べて精神的に安定していること、ストイックであること、人とうまくコミュニケーションをとれることがわかりました。また、指導者や家族のサポートを自覚できているアスリートはストレス耐性が高いこともわかりました。 |
佐々木さん | 私は「誰か」のためのセルフコントロールについてです。自分のためや大切な人のために努力できる度合いを実験的に調べました。例えば、ティッシュ配りをしてもらえる10万円と何もしないでもらえる9万円のどちらを選ぶか、自分や大切な人のためにティッシュを何個まで配れるか、といった課題で比較するのです。その結果、自分にとって一番大切な人のためならば、自分のためと同じくらいかそれ以上に努力できるという結果が得られました。 |
徳田さん | 私は不健康な心理状態から立ち直る力(=レジリエンス)とコミュニケーションスキルの関係性を研究しました。身近な他者にあたたかい言葉をかけるという場面を想定してロールプレイで練習した後に、2週間日常活の中で実践してもらいました。結果として、あたたかな言葉かけを実践した人自身のレジリエンスが向上しました。 |
杉若先生 | 徳田さんはレジリエンスとコミュケーションの関わりに気づき、コミュニケーショントレーニングの中でも「ポジティブな言葉がけ」という方法を採用したのです。一般学生でもコミュニケーションスキルの向上に関心を持っている人は多く、また数ある方法の中から学生が取り組みやすいものを選んだのでうまく結果につながりましたね。 |
徳田さん | はい。大学生でも普段の生活の中で実践しやすいと考えて選びました。 |
人が立ち直る力を信じて。
— 皆さんの進路について教えてください。
徳田さん | 同志社の大学院に進学し、レジリエンスの研究を続けるつもりです。将来的にスクールカウンセラーや産業カウンセラーなど人の立ち直りを支援する専門職に就きたいと考えています。 |
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佐々木さん | 私は春から人材業界で働きます。内定先を志望したのは、人の「職に就く」という転機に関わりたかったからです。生きていくためだけの「ライスワーク」ではなく、働くことを通して自己実現や生き方の形成をしていく「ライフワーク」に就くことを支援できるように、心理学部で培った広い視野を活かし、多種多様な人の個性を尊重しながら、誰かのために頑張り続けたいと思っています。 |
稲葉さん | バレーボール一筋だった自分の可能性を広げられると思い、仕事内容の幅広さに魅力を感じて百貨店を志望しました。就職活動では心理学部出身というと興味を持たれましたね。 |
杉若先生 | さまざまな分野で活躍しておられる方々の心理学への関心の強さを実感します。基礎から応用まで、あらゆる領域の研究成果が実際に社会で活かされていますし、さらなる可能性をもつという認識が広がってきましたね。 |
稲葉さん | 営業職をはじめとして、どんな職種でも活躍できますよね。私は百貨店の花形である外商を目指しているので、4年間で学んだことを積極的に活かしていきたいです。 |
村瀬さん | 私も人と話すことが好きなので、デスクワークよりは人と関わる仕事がしたいと思っています。 |
杉若先生 | 人の心に関心を持って入学してくる心理学部の学生は、人に関わる仕事を選ぶことが多いですね。 |
人と関わり続けたい。
— 最後に高校生へのメッセージをお願いします。
徳田さん | 同志社心理では基礎から臨床まで幅広い領域を学べるのはもちろん、他学部の科目選択の自由度も高いです。少しでも興味を持って来れば、何かしらの気づきを得られるはずです。 |
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村瀬さん | 心理学部がある京田辺キャンパスは設備も整っていて、自分のやりたいことができる良い環境です。 |
稲葉さん | 心理学は奥が深いので、入学してから学ぶことはたくさんあります。私自身、心理学に興味がある程度で入学しましたが、学びたいという姿勢があれば心配いりません。 |
佐々木さん | 同志社大学は学生の自主性を重んじてくれる大学です。私は料亭でアルバイトをしていて、もっとお客様に喜んでもらえる接客スキルを身につけようと、休学して老舗旅館へ修行に行ったことがありました。そのとき,先生や職員の方が背中を押し、支えてくださったことがとても嬉しくて、より同志社が好きになったというエピソードはずっと覚えています。 |
杉若先生 | その行動の根底にある誰かのために頑張りたいという気持ちは佐々木さんの卒業論文のテーマにもつながっていますね。皆さんが言ったように、同志社には確かな伝統があり選択の幅が広く、教職員の意識の高さも誇れます。学生のさまざまな要望に応えるための資源はたくさん埋まっています。それらを活用する意欲を持った人には、きっと同志社で良かったと感じてもらえるでしょう。 |
自分の興味を
支えてくれる環境がある。
— ありがとうございました。
※正しくは旧字体の瀬