高校生の頃、物理の授業で「当たり前に思っていることの裏にある仕組み」の面白さを知りました。例えば、「空はなぜ青いのか」や「どうしてボールは弧を描いて飛ぶのか」といったことですが、それをきっかけに心や心理学に興味を持つようになったんです。幼い頃から周りの人の考え方や心について考えるのが好きだったこともあり、心にも何か仕組みがあるのではないかと思って、心理学を学びたいと感じました。数ある大学の中で進学先を同志社に決めたのは、基礎演習に力を入れていることと充実した設備を使って実験が出来ることに魅力を感じたからでした。

卒業論文で行った実験が、とても印象に残っています。ラットを使ってストレスと過食の関係を研究しました。ストレスという目に見えないものに対して、直感ではなく客観的・統計的に考える姿勢を養うことができたと感じています。数か月におよぶ実験でしたが、ゼミの先生が分析方法などについてアドバイスをくださり、根気強くサポートしてくださったおかげで満足いく論文を書き上げることができました。ご協力にはとても感謝しています。

一方で、中学時代から続けていた音楽活動にも注力していました。自分で授業のカリキュラムを組み、時間を比較的自由にコントロールできるようになった分、やりたいことにとことん取り組むことができました。作曲やレコーディング、ライブ活動を繰り返す中で新しいものを作り上げる楽しさやそれを人と共有する喜びを知りました。当時の感動が今の仕事を選ぶきっかけになったと感じています。

今は、ショーやパレードなどを企画・運営するスタッフの研修や教育に携わっています。仕事柄、正解が１つではなく、成果もすぐに見えるわけではありません。その中で、大切にしているのは「人がどう感じるか」ということ。少しでも参加者にとって有意義な内容にするため、研修の度に振り返りを行って改善を図るよう心がけています。また、大学で培った心理学の知識を活用することもあります。言葉の伝え方や雰囲気作り、モチベーションを高める方法など、さまざまな場面で当時の学びが役に立っていると感じます。研修の参加者が、生き生きと働いている姿やその先のお客様の笑顔を見ると、本当にうれしく思います。