Career Story:永野 茜 さん
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同志社大学心理学部および研究開発推進機構
特別任用助教 永野 茜 さん 2013年卒業
(心理学部心理学科)
動物とのふれあいで新たな発見を得る日々。
研究をより身近なものに。
高校時代生物としての人間を追求したいと思った。
高校時代は「人間とはどういう生き物なのか」ということに関心があり、最初は解剖学などが学べる医療系を中心に検討していました。その中で、人間を研究する学問として心理学にも興味を持つように。当時同志社大学の心理学部は開設間近で、注目されていることも知りました。きっかけは何となく一番面白そうだと感じたことでしたが、そうした新設学部としての活発な印象も志望に至った理由の一つです。
大学在学中/就職活動自分で考え、工夫する楽しさを知った。
大学に入学して、学びの内容や授業が期待以上に面白かったのはさることながら、実験のレポートを書くのが楽しいと感じたことが強く印象に残っています。高校までとは異なり、答えのない問いに対して自分たちで考えて工夫して実験を行い、発表やレポートという形で結果を報告して結論を導くという作業に、とてもやりがいを感じていました。
また、実験動物と会えるのも楽しみとなっていました。ゼミに入ってからはそれこそ朝から晩までラットとともに実験室で過ごすことも。そんな生活の支えになったのはゼミの先生の存在でした。卒業研究に必要なラットの脳外科手術や脳標本の作製などの技術を習得するために、毎日のように丁寧にご指導くださったのです。おかげで意欲的に研究に取り組むことができ、大学院修了後も動物たちと一緒に過ごしたいと、研究職を志望しました。
現在想像を超えた動物の行動を見ることができる喜び。
大学の助教として学生の指導も行いますが、研究職としては実験や論文の作成が主な仕事。動物実験をしている中で、動物が先行研究やそれに基づく予測を超えた行動を見せるときがあります。「世界で誰も見たことのない現象を見ている」と考えると嬉しくなります。
気をつけているのは、実験や動物の世話をしているときに違和感を抱いたら、すぐにその原因を突き止めて対処するようにすること。卒業研究の実験中、ラットの行動がうまく検出できないということがありました。実は装置の不備が原因だったのですが、ラットの行動をよく観察することで不備に気づき、装置を工夫するとうまくデータを収集することができるようになりました。そうした経験を繰り返すことで身につけた課題解決の能力や姿勢は、今の研究の基盤となっています。
これからのビジョン
もっと研究を身近に感じてもらえるように。
私が目指すのは「暮らすように研究する」こと。朝起きて、顔馴染みの動物たちと挨拶を交わし、食べ物を与え、疑問に思ったことは実験を通してその動物たちに教えてもらう。面白いことが見つかったときは、専門家・一般人問わず他の人に伝える。「研究」というと小難しい印象を持たれがちですが、意外と身近に存在する現象を扱っていることを多くの人に知ってもらい、一般的な日常生活と研究の間にある壁を取り払っていきたいです。