TOPICS 心理学研究科・伊藤綾音さん,松川昌憲さんがACBS World Conference 2023でポスター発表を行いました
23/08/28
心理学研究科 博士課程(前期課程)臨床心理学コースM2の伊藤綾音さん,松川昌憲さんが2023年7月26日~7月28日にキプロスのニコシア(於:University of Cyprus)で開催されたACBS(Association for Contextual Behavioral Science) World Conference 2023にてポスター発表を行いました。
※1枚目:伊藤さん
※2枚目:Nevada大学のSteven C. Hayes先生(ACBSの中心的メンバー)と松川さん
※伊藤さんはp.25に、松川さんはp.26に掲載されています。
■発表者
伊藤 綾音さん
■発表タイトル
Associations between Alexithymia and ACT factors among Japanese Students.
■発表の概略
アレキシサイミアは,感情の同定困難や伝達困難,外的志向などを特徴とする性格傾向である。アレキシサイミアはこれまでに様々な精神疾患との関連が報告されており,関連する疾患の症状よりも先にアレキシサイミアへ介入する必要性も指摘されている。本研究では日本でのアレキシサイミア介入におけるアクセプタンス&コミットメント・セラピー(以下ACT)の有効性を検討することを目的とし,大学生99名に対して質問紙調査を行った。調査の結果,複数のACT因子が有意にアレキシサイミアを予測することが示され,アレキシサイミアに対するACTを用いた介入の可能性が示唆された。
■感想など
昨年同じ学会に参加していたこともあり,前回ほどの緊張や不安はないまま過ごすことができました。ポスター発表では,私の研究内容に関連する事象を日々扱っているという方を含め,本当に多くの方からフィードバックを得ることができました。また,昨年知り合った方とも再会して,前回話した時には構想段階であった研究の成果をシェアできたことも,とても喜ばしいことと感じています。今回の発表を通して,自分の研究に対する自信と,今後の発展に関するアイデアを持てたと思います。前回の参加時と同様,ワークショップへの参加やシンポジウムの聴講,知り合った方の研究内容についてのディスカッションを通して,新しいことを学んだり,気づきを得たりと,多くの刺激を受けました。非常に有意義な経験になったと思います。
■発表者
松川 昌憲さん
■発表タイトル
Experimental Analysis of the Development of Cognitive Defusion: Effect of Contextual Control over Transformation of Stimulus Function Established by Auditory Features of Equivalence Class Members
■発表の概略
アクセプタンス&コミットメント・セラピー(Acceptance & commitment therapy, ACT)という心理療法に関する基礎研究を行った。具体的には,思考から距離を取る脱フュージョンというプロセスについて実験室実験を行った。本研究では,人は思考を(天使の声や悪魔のささやきといったように)「声」として認識しているのではないかと考え,音声刺激を用いた基礎研究を行った。具体的には,同じ意味を表す言葉であっても,その音声的特徴(音の高低)を手がかりに,反応を切り替えることができるのかについて検討した。本研究は予備的研究のためさらなる研究が求められているが,先行研究と比較しながら音声刺激がもつ特徴について考察した。
■感想など
国際学会(ACBS)でのポスター発表は去年に続き2回目でした。今回は基礎研究の発表ということもあり,発表の難しさを感じながら本番に臨みました。しかし去年と同様にACBSの参加者の皆さんはとてもやさしくオープンでした。拙い英語での発表にもかかわらず,熱心に話を聞いていただき,貴重な質問・意見もたくさんいただきました。またポスター発表以外のシンポジウムなどでも,多くの刺激がありました。世界のあらゆる場所で自分と同じような興味・関心をもった研究者がいるということ。そして世界中の人が,人間行動がより良きものになるようにあらゆるアイデアを駆使して活動されていること。そのような現実を目の当たりにし,自身の研究(さらには自身が行っている研究活動そのもの)の意義を改めて実感することができました。今回の学会参加も去年と同様に,旅費の面でALL DOSHISHA事業から補助をいただきました。このような金銭面での支援があってこそ国際学会に参加することができたと考えています。学会での経験と同志社大学からの支援の双方において,貴重な縁に恵まれたと感じています。