TOPICS 心理学研究科・有木京志郎さん,伊藤綾音さん,松川昌憲さんがACBS World Conference 2022でポスター発表を行いました
22/06/29
心理学研究科 博士課程(前期課程)臨床心理学コースM1の有木京志郎さん,伊藤綾音さん,松川昌憲さんが2022年6月14日~6月19日にアメリカのサンフランシスコ(於:Hilton San Francisco Union Square)で開催されたACBS(Association for Contextual Behavioral Science) World Conference 2022にてポスター発表を行いました。
※左から松川さん,Nevada大学のSteven C. Hayes先生(ACBSの中心的メンバー),伊藤さん,有木さん
当該大会のプログラムはこちら▼
In-Person Final Program 5.25_0.pdf (contextualscience.org)
※松川さんはp.35に、伊藤さんと有木さんはp.39に掲載されています。
■発表者
有木 京志郎さん
■発表タイトル
Association Hoarding and related disease, and Psychological Flexibility among Japanese college students
■発表の概略
ホーディングとは過度に物を手に入れ、捨てることが困難になることにより、多くの物を溜め込む症状である。しかし、アメリカではホーディングとその他の関連要因との関連性について多く検討されているが、日本においては極めて少ない。そこで本研究では日本人大学生213名を対象に、ホーディング傾向、関連疾患、および心理的柔軟性関連性を検討した。結果として日本人に特有の傾向が示された。特にホーディングの症状的な側面に比べ、認知的な側面は介入において重要な要素になることが示唆された。
■感想など
学会に参加した際の苦労した点は、ポスターについての説明に加えて、やはりポスターに対する質疑応答でした。質疑応答では英語で問われた質問の内容を瞬時に理解し、それに対して適切な返答を英語で返さなければなりません。実際に出来ていたかは定かではありませんが、とにかく必死に聞き取って必死に答えることの連続でした。しかし、それによって自身の研究に対する様々な人の印象や考え、新たな視点を得ることが出来たので、非常に貴重な経験となり再度行きたいという気持ちが大きくなりました。またそれによって、英語に対する意識が変わったことも大きな収穫かなと思います。はじめての海外であったのもあり、不安が大きかったですが、行ってみてよかったと心から思える体験でした。
■発表者
伊藤 綾音さん
■発表タイトル
Does Affect Labelling give effect to the performance of Defusion?
■発表の概略
Word Repeating Technique (WRT)はAcceptance and Commitment Therapy (ACT)の定義するプロセス,脱フュージョンの理解を深めるために作られた体験的なエクササイズの1つである。WRTではある単語を繰り返し発声することで,言葉の意味の崩壊と,それによって単語は単なる言語表記であることを体験させる。本研究はWRTにおいて「ある単語」を設定する前の段階での不快度上昇とそのリスクに着目し,これを抑える方法を検討することを目的として行われた。不快感上昇抑制の因子として感情ラベリングを仮定し,その介入に対する影響を検討した。
■感想など
学会では,様々な方にあたたかく迎え入れて頂きました。積極的に話かけに行ったり,話しかけられたりしたので,多くの人と仲良くなれたと感じています。彼らとそれぞれの研究テーマの内容をシェアしてそれについて話し合ったり,参加したプログラムの内容を教えあったりして,フリータイムも良い時間を過ごすことができました。各プログラムも大変興味深く,自分があまり触れてこなかった分野について新しく知識を得られたり,自分がある程度触れていた分野についても,その理解を深めたりすることができ,大変有意義だったと感じています。ポスター発表では,思っていた以上に多くの方に質問やフィードバックを頂き,新しい視点を与えてもらったと感じています。また,どこに興味を持たれることが多いのか,傾向を知ることによって,自分自身の「伝える」ことに対する意識にも変化があったように感じます。あらゆる意味で,収穫の多い体験でした。
■発表者
松川 昌憲さん
■発表タイトル
Acceptance and Commitment Therapy in college students with ADHD tendencies
■発表の概略
注意欠陥多動性障害(ADHD)について,診断がつくほど強い症状はないがその傾向を有している大学生に対し,心理教育としてアクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT:アクト)が効果的であるかを検討した実験です。日常生活で感じるちょっとした生きにくさに焦点をあて,ACTがセルフヘルプとして効果的かどうかを検討しました。明確な効果は確認できませんでしたが,行動指標などを利用し多角的に検討しました。
■感想など
私自身英語に自信がなく,しかも初の学会での発表だったので非常に緊張しました。一緒に行ってくれた有木さんと伊藤さんに多くの面で助けてもらいながら,アメリカで無事発表をすることができました。当日はフランクな方ばかりで,私のつたない英語でも興味深く話を聞いていただき温かいフィードバックもいただけました。学会それ自体が私にとって非常に刺激的であり,これからの糧になるような経験をさせていただきました。