同志社心理, 1986, No.32, 10-15.
心理的距離としての製品関与測定の試み中 谷 内 一 也
杉 本 徹 雄 要 約 : 製品関与水準の客観的測定法を開発するための基礎的研究として、製品関与を自己と対象の間の心理的距離としてとらえ、その測定を試みた。製品クラスとしてはテニス関連製品とパソコンをとりあげ、指標にはイメージを用いた。主な結果は以下のとおりである。 (1) 両製品クラスにおいて製品関与水準が高いと心理的距離は短くなることが見いだされた。ただし、パソコンにおける両者の関連性は低かった。 (2) テニス関連製品において、集団全体の製品関与水準が上昇すると、主観的属性値の代表値(高関与使用者イメージの評定値)の個人間分散が収束することが示唆された。一方パソコンにおいてはこのような結果は得られなかった。 (1)、(2)ともパソコンにおいて積極的に仮説を支持する結果が得られなかったのは、この製品クラスにおいては属性としての高関与使用者イメージの重要性が低いためと推察される。製品関与を心理的距離としてとらえ客観的な測定法を確立するためには、今後さらに対象製品クラスおよび属性を拡大し、今回の方法とともに主観的属性値の個人内分散を指標とする方法(小嶋,1958)を適用して各指標と製品関与水準との関係を詳細に検討する必要がある。 |